「わかった、信じるよ」


おばあちゃんの家に泊まるつもりだったけれど、なにか予定があったわけじゃない。
こっちには友人もいないし、実家は千葉にあって、親戚だってすぐに会いに行けるような距離にはいない。


まるで最初からこうなることが決まっていたのかと思うほど、今の私が頼れる場所は雨天様たちしかいなかったのだ。
もっとも、こんな話をしたって誰にも信じてもらえないだろうけれど。


「ひかり様がお帰りになりたい時は、コンとギンがお供いたします。なにかお困りのことがあれば、なんでもおっしゃってくださいね」

「あ、じゃあ、荷物は取りに行きたいかな……。でも、一緒に行ってくれるのは雨天様じゃないの? 雨天様から離れない方がいいんだよね?」

「いいえ、それは……」


眉を下げたコンくんを見て、ハッとする。
悪気があったわけじゃないけれど、きっと傷つけてしまったと感じたから。


「あ、違うの! コンくんとギンくんを信用してないわけじゃないんだよ? でも、さっき雨天様の傍にいた方がって……」

「あ、いいえ。そういうことではないのです。ひかり様がおっしゃりたいことはわかっておりますので、お気遣いは無用でございます」


すぐに笑顔になったコンくんは、ギンくんと顔を見合わせたあとで、ふたりとも雨天様を見た。
ふたりは、まるで雨天様の様子を窺うように、困惑顔をしていた。