「ひかりには、私がさきほど守護の術をかけたが、さほど強いものではない。私が少しでも離れれば効力は弱まるし、お客様に触れることがあれば魂があっという間に引きずられてしまうこともある」


穏やかじゃない内容に、ゾッとしてしまう。
長生きしたいと強く思っているとか、大きな夢があるとかじゃないけれど、少なくともそんなホラーな展開にはなりたくない。


「全然安全じゃないじゃん! むしろ、危険なままってこと?」

「私の傍にいれば守ってやれる。だが、一刻も早くこことの縁を失くしてしまう方がいいだろう」

「じゃあ、結局はどうすればいいの?」


縋る私に、雨天様は「コン」と口にした。
コンくんはお馴染みの明るい返事をすると、「ひかり様」と私の名前を呼んで笑みを向けてきた。


「さきほど我々で話し合ったのですが、ひとまずこちらでお過ごしになってください。そうすれば、雨天様が解決策を見つけてくださるでしょう」

「見つからなかったら?」

「そんなことはありえません。雨天様は神様ですから」


半信半疑の私に、コンくんが胸を張る。
ギンくんもコンくんの言葉に大きく頷いていて、雨天様は瞳を柔らかく緩めていた。


雨天様たちの瞳や態度が、〝大丈夫だ〟と言っている。
知らないうちに、よくわからない上にありえない状況に陥ってしまっていたのに、不思議と三人のことは素直に信じることができた。