「ひかり様の額にかけられたのは、雨天様の術にございます。簡単に言えば、悪いものを寄せつけない結界のようなものです。雨天様がお傍にいない時は、雨天様の力がひかり様をお守りしてくださいます」
雨天様とギンくんがいなくなったあと、コンくんはそんな説明をしたあとで、「では見ていてくださいね」と口にした。
ニッコリと笑みを向けられて、自然と頷いてしまう。
「きまっし……いっぺんきまっし」
優しい声音でそんな風に言い出したコンくんは、同じような言葉を何度か繰り返した。
そのセリフは、私も耳にしたものだった。
「さて、今宵のお客様がいらっしゃいますよ」
今宵とは言われたけれど、外はまだ明るい。
この部屋に時計はないから正確な時間はわからないけれど、せいぜい十五時といったところだろう。
「ねぇ、〝きまっし〟ってどういう意味?」
「金沢の方言で、『ここに来なさい』というような意味でございます」
「じゃあ、あの言い方だと、〝一回ここに来なさい〟って感じ?」
「心に傷を負った方に話しかけていますので、『一度ここに来てごらんなさい』という風に伝わればいいなと思っております。ひかり様に声を掛けた時は『たぁた』とも言いましたが、そちらは『お嬢さん』という意味です」
コンくんは、丁寧に答えてくれた。
その対応につられるように、私の疑問はどんどん湧いてくる。
雨天様とギンくんがいなくなったあと、コンくんはそんな説明をしたあとで、「では見ていてくださいね」と口にした。
ニッコリと笑みを向けられて、自然と頷いてしまう。
「きまっし……いっぺんきまっし」
優しい声音でそんな風に言い出したコンくんは、同じような言葉を何度か繰り返した。
そのセリフは、私も耳にしたものだった。
「さて、今宵のお客様がいらっしゃいますよ」
今宵とは言われたけれど、外はまだ明るい。
この部屋に時計はないから正確な時間はわからないけれど、せいぜい十五時といったところだろう。
「ねぇ、〝きまっし〟ってどういう意味?」
「金沢の方言で、『ここに来なさい』というような意味でございます」
「じゃあ、あの言い方だと、〝一回ここに来なさい〟って感じ?」
「心に傷を負った方に話しかけていますので、『一度ここに来てごらんなさい』という風に伝わればいいなと思っております。ひかり様に声を掛けた時は『たぁた』とも言いましたが、そちらは『お嬢さん』という意味です」
コンくんは、丁寧に答えてくれた。
その対応につられるように、私の疑問はどんどん湧いてくる。