「確かに、一理あるな。ところで、ひかり。お前はいつ、この屋敷のことを思い出した?」

「え? えっと……朝ご飯がなにもなくて、仕方なくあんみつを食べてた時に、なんとなく……?」


しどろもどろに話す声が尻すぼみになったのは、少しだけ自信がなかったから。
昨夜の記憶が鮮明になるほどに、それを思い出した経緯が不透明になってしまったような奇妙な感じがする。


「覚えている範囲でよいから、話してはくれないか」

「あ、うん」


雨天様の言葉に、コンくんとギンくんも私を真っ直ぐ見つめてきた。
こんな風に三人の視線を浴びるのは何度目だろう、と考えながらも今朝からのことを話していくと、意外にも上手く思い出せていったような気がする。


「……うん、こんな感じかな。あとは覚えてないだけかもしれないけど、これで全部話したと思う」


説明が終わったことを伝えると、雨天様は何度か小さく頷いたあと、「傷が癒えなかったか」と苦笑を漏らした。
小首を傾げた私に、「コン」と声を掛けられたコンくんが「はい」と背筋を伸ばした。


「ひかり様、我々のことやここに辿り着いたいきさつは昨夜お聞きになりましたね。覚えていますか?」

「うん。コンくんの声に呼ばれて、雨天様が見えたから……」


昨夜の記憶を確認してきたコンくんは、「そうです」と笑った。