昨日も歩いたはずの道を進みながら、途中で狭い路地に入ってみる。
そんなことを何度も繰り返してみたけれど、記憶の中にあるようなお屋敷は現れなかった。
路地はたくさんあり、その中のどこを歩いたのかまでは上手く思い出せない。
悲しみのせいか、それとも別の理由があるのか。
私にはわからなかったけれど、どうしても自分の記憶を疑うことができなくて、諦められなかった。
あんみつをもう一度食べたいから、なんていう理由じゃない。
確かにあれはとてもおいしかったはずだけれど、求めているのはたぶんもっと別のもの。
それを明確に表現することはできなかったものの、私の中にはしっかりとした温もりが残っているような気がしていて……。
不思議なことに、きっと見つけられるという自信すらあった。
「たぁた、きまっし」
誰にも聞こえないような小さな声が口をついたのは、すっかり疲れ切ってしまった頃のこと。
足が棒になりそうだった私は、自然とそんなことを口にしていた。
その直後、どこからともなく甘い香りが漂ってきて、それに吸い寄せられるように再び足を踏み出した。
あんなに疲れていたはずなのに、そんなことは忘れてしまったかのように足取りが軽くなっていた。
ふわりと鼻先をくすぐるような、優しい香り。
微かな手がかりを見失わないように、無意識のうちに神経を研ぎ澄ませてしまう。
そんなことを何度も繰り返してみたけれど、記憶の中にあるようなお屋敷は現れなかった。
路地はたくさんあり、その中のどこを歩いたのかまでは上手く思い出せない。
悲しみのせいか、それとも別の理由があるのか。
私にはわからなかったけれど、どうしても自分の記憶を疑うことができなくて、諦められなかった。
あんみつをもう一度食べたいから、なんていう理由じゃない。
確かにあれはとてもおいしかったはずだけれど、求めているのはたぶんもっと別のもの。
それを明確に表現することはできなかったものの、私の中にはしっかりとした温もりが残っているような気がしていて……。
不思議なことに、きっと見つけられるという自信すらあった。
「たぁた、きまっし」
誰にも聞こえないような小さな声が口をついたのは、すっかり疲れ切ってしまった頃のこと。
足が棒になりそうだった私は、自然とそんなことを口にしていた。
その直後、どこからともなく甘い香りが漂ってきて、それに吸い寄せられるように再び足を踏み出した。
あんなに疲れていたはずなのに、そんなことは忘れてしまったかのように足取りが軽くなっていた。
ふわりと鼻先をくすぐるような、優しい香り。
微かな手がかりを見失わないように、無意識のうちに神経を研ぎ澄ませてしまう。