あれ? いつだっけ?
大学の友人とカフェに行った時でも、実家に帰省した時でもない。
ひとりであんみつなんて食べに行くほど好きなわけじゃないし、かと言って誰かと食べに行ったという記憶もない。
「えっと……いつだっけ……」
だけど、確かに食べた。
思い出せないのに確信があるなんておかしいけれど、舌と頭の奥底で燻っているような淡い記憶が『確かに食べた』と訴えてくる。
ふと見つめた窓の外は、雨。
今日も相変わらず降り注ぐ雫に苦笑した直後、子どもの声が頭に響いた。
『晴天や雨天――つまり、雨の天気と書いて雨天様です』
「雨天様……」
ぽつりと落ちた声が、やけにこだまする。
鼓膜を揺らしたその名前に、ぶわりと記憶が溢れ出し、昨夜の一部始終を呼び覚まされたような気がした。
感激したほどのあんみつと、香り豊かなお茶。
雨天様、コンくん、ギンくん、そして日本庭園のような庭と古くて大きなお屋敷。
ただの、夢。
そう思うにはすべてがあまりにも鮮明過ぎて、夢という言葉ひとつで片付けられないことを一瞬で悟っていた。
大学の友人とカフェに行った時でも、実家に帰省した時でもない。
ひとりであんみつなんて食べに行くほど好きなわけじゃないし、かと言って誰かと食べに行ったという記憶もない。
「えっと……いつだっけ……」
だけど、確かに食べた。
思い出せないのに確信があるなんておかしいけれど、舌と頭の奥底で燻っているような淡い記憶が『確かに食べた』と訴えてくる。
ふと見つめた窓の外は、雨。
今日も相変わらず降り注ぐ雫に苦笑した直後、子どもの声が頭に響いた。
『晴天や雨天――つまり、雨の天気と書いて雨天様です』
「雨天様……」
ぽつりと落ちた声が、やけにこだまする。
鼓膜を揺らしたその名前に、ぶわりと記憶が溢れ出し、昨夜の一部始終を呼び覚まされたような気がした。
感激したほどのあんみつと、香り豊かなお茶。
雨天様、コンくん、ギンくん、そして日本庭園のような庭と古くて大きなお屋敷。
ただの、夢。
そう思うにはすべてがあまりにも鮮明過ぎて、夢という言葉ひとつで片付けられないことを一瞬で悟っていた。