「さて、ひかり。お前は、私たちをどう思う?」

「……神様と神使ですよね? まぁ、そんなの冗談でしょうけど」

「申し訳ございません、雨天様。コンでは信じていただけませんでした」


しょんぼりとした顔つきになったコンくんに、なんだか悪いことをしてしまったような気持ちになる。
自分自身の感覚が普通だと思っているけれど、もしかしてそうじゃないのだろうか。


「泣き言を言うな。ひかりを呼んだのはお前だろう」

「だって、雨天様! ひかり様ったら、あんなお顔で歩いておられて……!」

「ああ、いい。それ以上は言うな」


雨天様とコンくんのやり取りを見ながら、自分自身も当事者であることを自覚しなかったわけじゃないけれど、口を挟むのは憚られた。
そもそも、目の前で繰り広げられる会話を聞く限り、なにを言っても話が噛み合う気がしない。


ギンくんは、黙ったままコンくんの隣に座っている。
ふたりはお揃いの赤い着物を着ていて、顔立ちや声の感じも似ていたから、まるで双子のようだった。


そんなことを考えていると、雨天様が私をじっと見つめた。
真っ直ぐな瞳が銀色だということに気づいたのは、彼と会ってからこんなにもしっかりと視線が絡んだのは初めてだったから。


「……仕方ない。コン、ギン」

程なくして、雨天様にため息混じりに呼ばれたふたりは、「はい」と声を揃えて立ち上がった。