「ひかり様、私は子どもではありませんよ」

「え?」


クスクスと笑いながら紡がれた言葉に、思わず眉間にシワが寄る。
決してバカにしているような口調ではなかったけれど、コンくんの言葉を信じられなかった。


「だ、だって……」


そんなはずはないじゃない、と言おうとした唇は、コンくんの可愛らしい笑みに止められてしまう。
コンくんは、「そうですよねぇ」なんて言いながら、少し釣り目がちな瞳をゆるりと丸めた。


「私は……人間で言うと、御年二百歳にはなりますね」

「は? ごめんね、それはちょっと……」


信じられない、とまでは言わなかったものの、コンくんが私の意図を読んだように微笑んでいる。
私の言いたいことを理解しているような表情は、とても子どもとは思えないけれど、『二百歳』なんて言ってのけるところは子どもの冗談だとしか思えなかった。


「なんと申し上げたらよいのかわかりませんが、私もギンも雨天様も、ひかり様とは違うのです」

「違う?」

「はい。その、なんと言いますか……いわゆる、人間という生き物からは外れてしまいます」

「ん?」


首を捻り過ぎて、どこかの筋がおかしくなってしまいそう。
それくらい、コンくんの話は理解しがたかった。