「そうだ、お前たち」


その姿を見ながら、「今年の褒美はなにがいい?」と尋ねた。
一年に一度、どこぞの国からやってきた〝クリスマス〟というイベントがある。
もう過ぎてしまったが、それに倣うように年の瀬にはコンとギンの一年の働きを労い、ひとつ願いを聞いてやることにしている。


ギンはたいてい料理に関すること。
昨年は『ひとりで夕飯を作らせてくださいませ』と願い、その前の年は『秘伝の味噌の作り方を教えていただきたいです』と言われた。
さらにその前の年には、『私が一からひとりで作った甘味を明日のおやつにしてください』だった。
真面目で修業熱心のギンらしい望みなのだ。


反して、コンは毎年必ず『好きな甘味をたらふく食べたいです』と言う。
選ぶ甘味もほぼ毎年変わることなく、食いしん坊のコンらしい願いなのだ。


「私にできることなら、なんでもしてやろう」

「では……今年もお言葉に甘えまして」


先に口を開いたのは、ギンだった。
いつもコンの方がいち早く願いを口にするが、どうやらギンの願いははっきりと固まっているようだ。


「ああ。ギン、なにを望む?」

「……私が考案した甘味を食べていただけませんでしょうか」

「考案?」

「は、はい」

「お前が一からすべて考えたということか」

「はい。以前よりずっと、作ってみたい甘味がございまして……。少し前から頭の中で考えておりました。雨天様のご許可をいただけましたら、ぜひそれを作ってみたいのです」


ギンが緊張の面持ちでいるのは、自分の役目をしっかりとわきまえているからだろう。