「もうすぐ年が明けますねぇ」


年の瀬が近づいてきた頃、縁側で温かいほうじ茶を啜っていたコンがしんみりと呟いた。


数日前から降り続けている雪のせいで、今日はいっそう寒さが厳しい。
底冷えするような気候の中、抹茶ぜんざいとほうじ茶で体を温めたが、またすぐに体の芯が冷えていった。


「今年もあっという間でしたねぇ」

「そうですか? 私はなかなか長い一年に感じましたよ」

「ギンは修行に勤しんでいるからでしょう」

「コンだって、毎日忙しいではありませんか」

「忙しいからこそ、あっという間に感じるのです」

「私は、忙しいときこそ、振り返れば長い日々だったように思いますよ」

「前から思っていたのですが、私とギンは双子なのに感性は似ていませんねぇ。姿はそっくりなのに」

「双子でも、個々で特性がありましょう」


私の両隣に座るコンとギンの会話に、ふっと笑みが零れる。


確かに、コンとギンは外見こそそっくりではあるが、内面はあまり似ていない。
ひょうきんでお調子者のコンと、真面目で物静かなギン。


どちらが兄でどちらが弟なのか……と思うときも珍しくはない。
滅多にないが、喧嘩をしたときには双方譲らないところなんかはそっくりだと思うものの、双子とはいっても性格はまったく違っている。


「似ていないからこそ、おもしろいのではないか」

「ええ」

「さすがは雨天様! 素晴らしいお言葉にございます! 雨天様のおっしゃる通りですね! 似ていないからこそ、こうして楽しい時間が過ごせるのです」


大袈裟なくらい騒ぐコンに、ギンが「コン、お茶が零れますよ」とたしなめる。


「わかってますよ。ギンは母上みたいですねぇ」


仲のいいふたりのやり取りに、また笑みが零れる。