「それから、私のものは雨を、そちらの神使のものはどちらも青空に見立てたものでございます」


コンくんとギンくんのお皿には、深い青と乳白色のような白が混じっている。
雨天様のものは、少しくすんだような白をベースに淡い青が練り込まれ、波紋のようなデザインになっていた。


「これらの四つをすべて合わせると、ひとつの物語が完成いたします」


スズラン、雨、青空。
そして、大切な思い出。


「お客様の大切な思い出でもあり、私たちを結びつけてくれた宝物を、今宵の甘味にいたしました」


それは、子どもの頃におばあちゃんに買ってもらったお気に入りの傘。
四つの上生菓子を合わせると、〝雨の日に青空にスズランの花畑が広がっている〟というひとつの物語になる。


「……っ」


今日はもうずっと笑顔でいたかったのに、こんなに粋な演出をされてしまったら、我慢できなくなる。
泣かせないでよ……と思うのに、涙と笑顔が同時に零れた私の心は温かな幸せに包まれていた。


「雨天様、コンくん、ギンくん」


顔を上げて、三人を見渡す。
コンくんとギンくんの姿は見えないままだけれど、ふたりとも雨天様と同じように笑顔でいるような気がした。