「コンくん、今日までありがとう。コンくんたちと出会えて、本当によかった……。つらい気持ちで金沢に来たけど、コンくんたちのおかげでちゃんと笑顔で帰れるよ」


あとでまた伝えようとは思っているけれど、ギンくんのように見えなくなってからじゃなくて、目を見て話せるうちに伝えたい。
そんな気持ちで言えば、コンくんは可愛らしい瞳いっぱいに涙を浮かべた。


「……っ! コンも、ひかり様と出会えてよかったと、心底思っております! 毎日がとても楽しゅうございました! お掃除やお遣いがあんなにも楽しかったのは、初めてでございました!」

「コンくん……」

「ひかり様がコンのことを見えなくなっても、最後まできちんとお守りし、お送りいたします! それがコンのお役目でございますから!」


小さな手が私の手を握り、必死に想いを伝えてくれる。
コンくんの方が年上だとわかってはいるけれど、涙混じりの顔を見ていると、やっぱり可愛い子どもにしか見えない。


それでも、とても頼もしくて優しい神使だ。
私はゆっくりと頷いて、精一杯の笑みで口を開いた。


「あと少しだけど、最後までよろしくね」

「もちろんでございます。微力ながら、雨天様とギンとともにひかり様の幸せを祈っております」

「ありがとう」

私は潤んだ瞳で、コンくんは泣き顔で、少しの間微笑み合っていた。