やっぱり、もっとここにいたかったな、と思ってしまう。
決して口にはしないけれど、心の中ではその想いが強く主張していた。


美しくて優しい神様と可愛い神使たちとの、たったの二週間。
信じられないことばかりの日々は、私の心に優しく寄り添ってくれていた。


だからこそ、余計に名残惜しくなるのだろうけれど、最後にこうして雨天様と話せてよかった。
寂しさを隠すことはできなくても、きっと笑顔でお別れを言えると思うから。


「ひかりなら、大丈夫だ」

「雨天様がそう言うのなら、そうなのかな」

「ああ。ひかりがあるべき場所に帰っても、私はここからずっとひかりのことを見守っている」

「え?」


小首を傾げると、雨天様は足元にあった小さな水たまりに視線を落とした。
雨天様が手を翳すと、いつかのようにひがし茶屋街の景色が映る。


「こうして私が映せるのは、なにもひがし茶屋街だけではないのだ」

「そうなの?」

「人間のお客様の場合、その者が天寿を全うするまで姿を見ることができる」


目を小さく見開いた私に、雨天様は頷く。
その眼差しを受け止めながら、私も視線を落とした。