「ひかり様……」

「コン、これでよいのだ」

「……わかっております」


泣きそうな顔で私を呼んだコンくんに、雨天様が優しく諭すように微笑み、コンくんはか細い声で零した。
そのやり取りを見て、すべてを悟ってしまう。


「私……もうすぐ、みんなのことが見えなくなっちゃうんだね……」

「ああ、そうだ。だが、これが正しいのだ」

「……うん、わかってる」


必死に笑って頷いて強がって見せたけれど、喉と目の奥が熱を帯びていく。
いつか別れが来ることはわかっていたのに、こんなに突然なんだと思うと、心が追いつかない。


「恐らく、今夜にはもう見えなくなるだろうな」

「そっか……」

「なにも心配することはない。ギンの姿が見えなくとも、ギンの力は届く。コンとギンがきちんと送り届け、最後までひかりを守ってくれるから」


油断すれば、涙が溢れてしまいそうだった。
勝手にまだもう少し時間があると思っていて、もし時間がなかったとしても、いきなりあと数時間で別れの時が来るなんて思っていなかったから……。


寂しさと悲しみ、そしてほんの少しの安堵感。
ちゃんと自身のあるべき場所に戻れそうなことに確かに安心感は持っているのに、雨天様たちが見えなくなってしまうことへの不安の方がずっとずっと大きかった。