「僕の親友です……。とってもいい奴で、かっこよくて……。自慢の幼馴染です……」


誇らしさと悲しみが混じったような表情が、涙とともに雨天様を見た。
すると、雨天様がそっと微笑んだ。


「でしたら、その女性は今日があなたとの思い出の日であることを覚えているのではないですか?」

「え……?」

「相手の男性があなたの幼馴染なら、その男性もあなたの恋人も同じように大切な人を失くし、同じ傷を負ったはずです。だからこそ、もう大丈夫だとあなたに伝えたくて、今日を晴れの日の舞台に選んだのではないかと」

「まさか……そんな……」

「ええ。すべては私の憶測です」


戸惑いを浮かべるお客様に、雨天様が素直に頷く。
あっけらかんと肯定されたことに、お客様はますます困惑していたようだけれど……。

「ですが、どうせ真実がわからないのなら、幸せな解釈をした方がよいと思うのです。それに、私がもしあなたの幼馴染や恋人だったとしたら、どちらの立場になったとしてもきっとこう思うでしょう」

口を挟んだりすることはなく、雨天様の話にじっと耳を傾けていた。


「私たちはあなたを忘れたりはしません。そして、ふたりで必ず幸せになります。だから、心配しないでください……と」


そして、雨天様が真っ直ぐにお客様を見つめたままそう言った直後、お客様の瞳からは大粒の涙が零れ落ちた。