「私はずっと、雨が好きだよ」
笑顔で零した言葉に、雨天様が顔を綻ばせた。
まるで、雨上がりの空に掛かる虹のように綺麗な表情は、幸せだと言っているようだった。
おばあちゃんとおじいちゃんの馴れ初めを初めて聞いた時、私は『雨なんか大嫌い!』と駄々をこねていた。
そうなった理由はもう思い出せないけれど、泣く私におばあちゃんは自分の大切な思い出を語り、それを聞いた私は笑顔になった。
そのあとで、おばあちゃんが好きなものに対して大嫌いなんて言ってしまったことへの罪悪感が幼心に芽生え、すぐに『ごめんなさい』と謝った。
すると、おばあちゃんは嬉しそうに笑った。
『ひかりちゃんは、おばあちゃんの好きなものを知らなかっただけだもの。それなのに、こうして謝ってくれるなんて、ひかりちゃんはとても優しいのね』
そんな風に言ってくれたおばあちゃんのことを、もっと好きになった。
そして、その時から私も雨が好きになった。
雨が大嫌いだったことは、雨天様には言わないでおこうと思う。
もしかしたら心を読まれているかもしれないけれど、だとしても言葉にする必要はないと思うから。
「ひかりはまるで、雨上がりに陽を浴びる雫のようだな。私は、あの輝きが好きなのだ」
不意に微笑みとともに与えられた言葉をどう受け取ればいいのかわからなくて、結局はなにも言えなかった。
だけど、心は確かに喜びを感じ、雨が上がった空を仰ぎながら素直な笑みが零れ落ちていた――。
笑顔で零した言葉に、雨天様が顔を綻ばせた。
まるで、雨上がりの空に掛かる虹のように綺麗な表情は、幸せだと言っているようだった。
おばあちゃんとおじいちゃんの馴れ初めを初めて聞いた時、私は『雨なんか大嫌い!』と駄々をこねていた。
そうなった理由はもう思い出せないけれど、泣く私におばあちゃんは自分の大切な思い出を語り、それを聞いた私は笑顔になった。
そのあとで、おばあちゃんが好きなものに対して大嫌いなんて言ってしまったことへの罪悪感が幼心に芽生え、すぐに『ごめんなさい』と謝った。
すると、おばあちゃんは嬉しそうに笑った。
『ひかりちゃんは、おばあちゃんの好きなものを知らなかっただけだもの。それなのに、こうして謝ってくれるなんて、ひかりちゃんはとても優しいのね』
そんな風に言ってくれたおばあちゃんのことを、もっと好きになった。
そして、その時から私も雨が好きになった。
雨が大嫌いだったことは、雨天様には言わないでおこうと思う。
もしかしたら心を読まれているかもしれないけれど、だとしても言葉にする必要はないと思うから。
「ひかりはまるで、雨上がりに陽を浴びる雫のようだな。私は、あの輝きが好きなのだ」
不意に微笑みとともに与えられた言葉をどう受け取ればいいのかわからなくて、結局はなにも言えなかった。
だけど、心は確かに喜びを感じ、雨が上がった空を仰ぎながら素直な笑みが零れ落ちていた――。