「自身の非を認め、すぐに素直に謝罪ができた者は、同じことを繰り返さない努力ができるものなのだ」


きっぱりと断言し、穏やかな笑みを浮かべる。
その瞳は、優しさで満ちていた。


「ひかりは今日、これまでに知らなかったことを知り、反省している。だから、私から学んだことを次に活かしてくれればよいのだ」


間違いを叱ることなく教え、そっと導いてくれる。
ここに来る人たちは、雨天様のこういう優しさにも救われているに違いない。


最初に紡いだ疑問は、あくまで本題への布石のつもりだったけれど……。
雨天様はやっぱり神様なんだと、改めて感じた。


「私の言っていることがわかるか?」

「うん」

「それなら、ひかりはもう同じ間違い繰り返すことはないだろう」


ふわりと破顔されて、ふとおばあちゃんの笑顔が脳裏に過った。
前にも、確かこんなことがあったような気がすると感じ、記憶の糸を辿る。


「あ、そっか……。あの時だ」

「どうかしたのか?」


思わず零れたひとり言に、雨天様が首を傾げている。
私は、そろそろ雨粒を落とし切りそうな空を見上げ、ニッコリと笑った。


「あのね、おばあちゃんが雨の日が好きだった理由を聞いた時のことを思い出したの」

「その話は私も聞いてみたい。詳しく教えてくれないか?」


少し悩んだけれど、きっとおばあちゃんなら雨天様には話してもいいと思うような気がする。
根拠はないのに、不思議とそう感じた。