今年の春休みにも金沢に来た私は、おばあちゃんのリクエストで新しくできたという和カフェに行こうということになって、ひがし茶屋街に繰り出した。
なんでも、ぜんざいとシフォンケーキが絶品らしくて、食べてみたいと誘われた。
だけど、お店の名前も曖昧で、場所もきちんとわからない。
そんな情報しかなかったせいで、SNSで検索してもよくわからず、そんなに広くはない茶屋街の中にあるはずのお店を見つけられないまま時間だけが過ぎていき、結局は以前に立ち寄った古民家カフェで抹茶のロールケーキを食べることになったのだ。
おばあちゃんは、あの和カフェに行けたのだろうか。
もう会えなくなるのなら、なんとしてでも連れて行ってあげればよかった。
雨が降りそうだったとか、散々歩き回っていたからとか……。
断念した理由は色々あったけれど、ひとりで歩き回ってでも探してあげればよかった。
そうすればもっと、おばあちゃんは嬉しそうに笑ってくれたはずなのに……。
あの時、どうして諦めてしまったのだろう……。
抹茶のロールケーキを食べながら『おいしいわね』と笑っていたはずのおばあちゃんの笑顔を、上手く思い出せない。
おばあちゃんは、本当にちゃんと笑っていたのだろうか……。
『扉が閉まります』
不意に車内から聞こえてきた、アナウンス。
それを耳にした途端、抱え切れない後悔とともにバスに飛び乗っていた――。
なんでも、ぜんざいとシフォンケーキが絶品らしくて、食べてみたいと誘われた。
だけど、お店の名前も曖昧で、場所もきちんとわからない。
そんな情報しかなかったせいで、SNSで検索してもよくわからず、そんなに広くはない茶屋街の中にあるはずのお店を見つけられないまま時間だけが過ぎていき、結局は以前に立ち寄った古民家カフェで抹茶のロールケーキを食べることになったのだ。
おばあちゃんは、あの和カフェに行けたのだろうか。
もう会えなくなるのなら、なんとしてでも連れて行ってあげればよかった。
雨が降りそうだったとか、散々歩き回っていたからとか……。
断念した理由は色々あったけれど、ひとりで歩き回ってでも探してあげればよかった。
そうすればもっと、おばあちゃんは嬉しそうに笑ってくれたはずなのに……。
あの時、どうして諦めてしまったのだろう……。
抹茶のロールケーキを食べながら『おいしいわね』と笑っていたはずのおばあちゃんの笑顔を、上手く思い出せない。
おばあちゃんは、本当にちゃんと笑っていたのだろうか……。
『扉が閉まります』
不意に車内から聞こえてきた、アナウンス。
それを耳にした途端、抱え切れない後悔とともにバスに飛び乗っていた――。