「大丈夫大丈夫。顔も見れたし。呼び方も決めちゃったしね」
「はぁ……」
「安心して。ちゃんと見てるから、態度とか様子とか諸々。いおりんは大人っぽいし、落ち着いてる。接客で大事なのは、お客様に喜んで頂こうという心構えや、接客マナーはもちろんだけど、落ち着いて行動することも大事なんだよ。面接でオロオロしちゃうような子だったら不安だけど、いおりんなら大丈夫」

 桜木にそう言われて、私は少しだけ安堵した。

「ありがとうございます」
「とにかく、いおりんの方に異論がないのなら、明日からお願いしたいんだけど」

 そもそも私に選択権はないのだ。佐藤がこの店を指定している以上、それに従うのみだ。

 私は立ち上がり、頭を下げた。

「宜しくお願い致します」