そう言いながら、桜木の目が履歴書の一点を行ったり来たりしている。

 ヤバイヤバイヤバイ。

 あからさまに名前をいぶかしがっている。

「ど、どうか……しましたか?」

 沈黙に耐えきれずに私の方から聞いていた。秘密がバレたら――ペナルティが待っている。

「名前……がね」

 名前という単語が出たところで、私は瞼を固く閉じる。もうダメだ。バレてる。腰を上げかけたところで、一緒なんだよねと桜木の言葉が続いた。

「一緒……?」

 上げかけた腰を椅子の上に戻した。

「3ヶ月くらい前にキッチンスタッフとして雇ったアルバイトがいるんだけど一緒なんだよ、名前が。しかも同姓同名。字まで一緒」

「そう……なんですか?」

 ようやく生きた心地がした。