自己紹介の後は担任から今後の予定を聞き、無事に初日を終えることができた。帰宅した時には行き絶え絶えといった状態で、部屋のベッドに倒れ込んだ。いかに私自身、気を遣っていたかを痛感した。

 次の日からも忙しく、数日の間に席替えをして、クラスの係を決め、さらに所属する委員会まで決められた。

 この頃になると女子はチラホラとグループを形成し始める。女子にとって、クラスの中での立ち位置が決まる大事な時期でもある。そのことは重々承知しているものの、どこかのグループに入る勇気は持てないでいた。まだ人に近づくのが怖いのだ。

 そんなある日の帰りのホームルームで、吉田の口から必ずどこかの部活に所属すなければならないことを知らされ、私は大いに動揺した。部活なんてしている暇はないのだ。私は働いて、働いて、働いて――佐藤に不足金を払わなければならない。

 ホームルームが終わるや否や、私は慌てて吉田に走り寄った。

「先生」

 吉田が振り返る。

「私、バイトしないといけないんです。部活は参加できません」

 学校側には申請して、許可も受けているはずだ。佐藤がそう言っていた。

 よほど切実な顔をしていたのだろう。吉田は破顔した。