制服の上には封筒。開いてみれば辛うじて読める程度の悪筆に苦笑し、佐藤のロン毛と無精髭を思い出して少し懐かくもあった。

 制服を見た時、かすかな感動があったのだ。試着なんてしていないのに、どうやって作られたのだろうかと。

 答えは手紙にあった。

 制服は身長や体重、胸囲などのデータに加え、佐藤の見立てで作られたもので、サイズが合わなかったら連絡するようにと――これも一回こっきりなのかは定かではないが――携帯番号が記されていた。

 制服のことばかりではなく、手紙には今後のことにまで及んでいた。

 バイト先の情報。働くことは決まっているが、形だけとはいえ面接を受けなれけばならないこと。そして、その日取りさえも。

 面接はGW明け。出勤日はその1週間後。

 働くのは学校があるからもちろん放課後だ。間違えても部活には入らないようにとご丁寧に警告まで記されている。

 ちなみに週末もバイトは入るらしい。遊ばせてはくれないということなのだろうが、田中伊織でいられるのなら、構わなかった。