「ん？　身長とか性別とか空白になってんじゃねぇか。クソー、何だよ、これ。最読み込みで行けっかな」

　渋面のまま男はまたキーボードを叩いた。

「よしよし、戻った戻った。もう大丈夫だ。心配かけたな。大丈夫だ。安心してくれ」

　男は満面の笑みを浮かべ、パソコンの画面をクルリと回し、私の方に向けた。

「これが嬢ちゃんの新しい人生だ」

　私は目を見開いた。

　画面にはビッシリと項目とそれに対する容が並んでいる。

　最初に目に入ったのは名前だ。

　――田中伊織《たなかいおり》。

「これが嬢ちゃんのこれからの名前だ。名前以外にも色が違う項目があるだろ」

　私はうなずく。黒字の中に赤色の項目が点在している。身長や生まれた年は黒字だが、誕生日は赤字。体重もそう。それ以外にも色々と。