男は急に手をパンパンと鳴らした。

「長話しちまったな。時間がもったいねぇから進めんぞ」

 私は一つうなずく。

 そこからの質問は思春期の私には本当に辛いものが多かった。

 身長や体重を聞かれることなんて全然大したことじゃない。初潮はいつか。初恋はいつか。今までの交際人数は。私は小学生から逃亡生活を続けていたから、誰かと付き合うような余裕はなかったが、付き合った相手がいる場合は交際相手の詳細や、肉体関係の有無やその行為の内容に至るまで事細かに聞かれることになったのだと言う。

 男の質問は恋愛に偏っているわけでもなく、苦手なこともかなり掘り下げて聞かれた。どれくらい苦手か。苦手な理由は何か。そんな質問が絶え間なく続くうちに、段々と自分がダメ人間の烙印を押されたような気にさえなってしまう。 

 何故、このような質問が多いのか言えば、男の曰く、新しい生活を始めるにあたって、恋愛がらみでほころびが出てしまうことが多いことと、得意なことを隠すことは容易だが、苦手なことを得意にすることは難しいから、だそうだ。

 1時間以上も質問を繰り返され、よし、終わったと男は言った。