「やっぱはした金じゃなぇかよ。よくこれで金の話したなぁ?」
「……すいません」
「まぁ……いいわ。考える」

 何を考えるのかはサッパリ分からないが、帰れと言われなかったことにとりあえず胸を撫で下ろした。

「とにかく話を進めんぞ。ここからはちょっといい気分しない質問もあるけど我慢してくれ」
「いい気分のしない質問って?」
「人にはあまり言いたくないパーソナルな質問ってこった」

「何でそんな質問を?」
「じゃあ嬢ちゃん、明日から日本代表の陸上選手になれるか?」
「無理です」
「医者は? 弁護士は? パイロットでもいい」
「全部……無理です」
「だろ? そういうこった。新しい人生になっても困らないよう嬢ちゃんに会ったものを探す必要がある」
「一から人生を作ってくれるわけじゃないんですか?」
「嬢ちゃん、胎児からやり直せるのか?」
「だから無理ですって」