気味悪がるほどではないが、進んで話しかけたくもない。かと言ってイジメるほど目に付くわけでもなく、またその張り合いも感じさせない。

 その立ち位置は、まさに私自身が画策したポジションだっただけに気にいっていた。

「とにかくそこ座ってくれ」

 男が指差す先にパイプ椅子がある。

 言われた通りに椅子に座った。ちょうど男と対面する形になる。

「準備するから少し待ってくれ」

 男はマウスとキーボードを使って何やらカチャカチャとやっている。口癖なのか、男は時折、クソっとかあぁとか粗暴な声を上げていて少し怖い。

 声をかけるわけにもいかず、手持ち無沙汰になった私はただただ男の様子を見ていた。

 彫りが深くハッキリした顔立ち。髪は長く髭面。意図的に長髪にしようとしているというよりも、切るのが億劫でほっておいたら伸びてしまったといった感じで、髭も同じようなもの。