ずいぶんと痩せてしまっていたが、面影だけはかろうじて残っていた。間違いない。間違えるはずがない。

「お母さん……」

 私が捨ててしまった人。戸籍上は死去ということになっていて、今はどうしているのか分かりもしなかった人。

「お母さんだって? ふん、あんたにそう呼ばれる筋合いはないね」

 占い師はかつらを戻した。しかし完全に元通りにはならず、目だけ見えてしまっている。
 
「私はただの占い師さ。あんたとは何の関係もない。それよりあんたはさっさと島に戻って、その腹の子供を産む算段をするんだね」
「でも……この子は馬酔木和成という人の息子の……」
「殺人犯の息子の子供だとでも言いたいのかい? その疑いは晴れたんだろ? だからここに来て、あの男に止めを刺しにきたんじゃないのかい?」
「でも……」
「よぉく考えなよ」

 占い師はしゃがみ込み、私と視線を合わせた。その瞳の力強さに心をわしづかみにされた。