ないよ、もう何もないって言い返してやった。殺人犯の息子に未来なんてあるはずがない。
「そしたらおっさんは鼻で笑ったんだ。だったら殺人犯の息子なんて止めちまえばいいだろって。何言ってんだコイツって思ったよ。おっさんはニヤリとして僕に言ったんだ。だったら別人になればいい。俺はそういう商売をしてるからって」
「全く新しい人間になれるんなら、それもいいなって思った。父親の無罪を晴らせなくなった今、馬酔木陵でいる必要もなくなったから」
そして陵は田中伊織になった。
何という因果なんだろう。私も耐えられず泣いていた。事件とは関係のない人生を歩もうとした二人が、結局は出会ってしまうなんて。
涙を拭いながら、私はさらにページをめくった。
次のページからは現場にいた大学生に関する記載が続いていた。
古川雄大という名前。年齢。血液型。右利きであることも。
彼は度々万引きで捕まり、しかしもみ消されている。恐喝まがいの揉め事も度々。面倒なことからは目を逸らす。楽してお金を手に入れようとする。何かがあれば父の名前を出し、圧力をかける。友人なんて一人もいない。彼の周囲にいるのは古川に弱み握られた者か、お金を握らせた者のみ。
「そしたらおっさんは鼻で笑ったんだ。だったら殺人犯の息子なんて止めちまえばいいだろって。何言ってんだコイツって思ったよ。おっさんはニヤリとして僕に言ったんだ。だったら別人になればいい。俺はそういう商売をしてるからって」
「全く新しい人間になれるんなら、それもいいなって思った。父親の無罪を晴らせなくなった今、馬酔木陵でいる必要もなくなったから」
そして陵は田中伊織になった。
何という因果なんだろう。私も耐えられず泣いていた。事件とは関係のない人生を歩もうとした二人が、結局は出会ってしまうなんて。
涙を拭いながら、私はさらにページをめくった。
次のページからは現場にいた大学生に関する記載が続いていた。
古川雄大という名前。年齢。血液型。右利きであることも。
彼は度々万引きで捕まり、しかしもみ消されている。恐喝まがいの揉め事も度々。面倒なことからは目を逸らす。楽してお金を手に入れようとする。何かがあれば父の名前を出し、圧力をかける。友人なんて一人もいない。彼の周囲にいるのは古川に弱み握られた者か、お金を握らせた者のみ。