「父は無実だ」
「そう信じたいのは分からなくはないわ。家族だもんね」
「違う。そうじゃない。冤罪なんだ」

 その仰々しい言葉に私は口元を緩めた。

「冤罪なんてそうそう起きることじゃないわよ」
「証拠がある」
「証拠?」
「お願いだ。証拠を見てほしい。そしてもう一度、僕の話を聞いてほしい」