私は前世でよほどの悪事を働いたのだろうか。そう嘆くしかなかった。憎しみを向ける相手は神様しかいない。愚痴る相手もそう。
でも、この旅もいよいよ終焉を迎える。
心体ともに不安定な日々。毎日のように寝泊まりする場所が変わることがこれほどしんどいことだとは思いもしなかった。
旅の疲れが出たのだろう。最近、体調もよくない。日によって波があるが、酷い時はご飯も喉を通らない。体力をつけねばと思い、無理やりに胃に流し込んでも、結局は食べたものを戻してしまうありさまだ。
でも今日は体調がいい。少なくとも潮風をかいで気分が悪くなることもない。
佐藤と合流したならば、私はまた胡桃山美月に戻ることになる。田中伊織とも、田中伊織として過ごしてきて日々ともサヨナラだ。
元の木阿弥。ご破算。水泡に帰す。寂しいと思わなかったら嘘になる。
それでも――早く佐藤に会いたいと思った。
嘘を突き通すのはしんどい。宿で偽名と嘘の連絡先を記入する度に、ちゃんと料金を支払っているにも関わらず、罪悪感から逃れられない。町を歩いていても、どこかで偽物だとバレてしまうのではないかと、周囲の視線ばかりか気になってしまう。
でも、この旅もいよいよ終焉を迎える。
心体ともに不安定な日々。毎日のように寝泊まりする場所が変わることがこれほどしんどいことだとは思いもしなかった。
旅の疲れが出たのだろう。最近、体調もよくない。日によって波があるが、酷い時はご飯も喉を通らない。体力をつけねばと思い、無理やりに胃に流し込んでも、結局は食べたものを戻してしまうありさまだ。
でも今日は体調がいい。少なくとも潮風をかいで気分が悪くなることもない。
佐藤と合流したならば、私はまた胡桃山美月に戻ることになる。田中伊織とも、田中伊織として過ごしてきて日々ともサヨナラだ。
元の木阿弥。ご破算。水泡に帰す。寂しいと思わなかったら嘘になる。
それでも――早く佐藤に会いたいと思った。
嘘を突き通すのはしんどい。宿で偽名と嘘の連絡先を記入する度に、ちゃんと料金を支払っているにも関わらず、罪悪感から逃れられない。町を歩いていても、どこかで偽物だとバレてしまうのではないかと、周囲の視線ばかりか気になってしまう。