検索に引っかかった記事を読み、私との関係を疑うクラスメイトが何人いるだろうか。飽きもせず調べ続け、あの誹謗中傷の記事にたどり着くのはどれくらいだ。

　私の反応がつまらなかったのか、その後女子生徒は呆気なく机から離れていき、しかし私はその日、一日、全く生きた心地がしなかった。

　教室にかけられている時計は一向に進もうとはせず、ずっと時計の針をばかり注視していたからか、気分が悪くなった。できることなら保健室に行きたかったものの、今、教室から逃げたら二度と戻れない気がして歯を食いしばってただただ耐えた。

　何とか放課後になり、鞄を持って席を立ったところまでは覚えている。

　気づけば家の玄関に入ったところで立ち尽くしていた。ハッと我に返り、おもむろに靴を脱いで、洗面所で手を洗った。あまりにも蒼白な顔が鏡に映っていた。

　きっと一日、このような冴えない顔をしていたのだろう。そして、その反応こそが、殺人事件への関連を裏付けてしまったことになる。

　もう終わりだ。もうここにはいられない。そのことを母に伝えるのが怖かった。少しばかり生活が安定してきていたからこそ、逃げ出さなきゃならないことが辛い。

　その時になってあのチラシのことを思い出した。鞄の奥底に隠したことは覚えているものの、処分した記憶がない。

　ならば――まだ鞄の中にあるはずだ。