「はぁ? あるわけないじゃないですか。あとお金にも困ってます」
確か、昨日、財布に入っていた最後の1万円を崩したはずだ。正確な金額は覚えていないが、残りは8千円くらいだと記憶している。通帳やカードの類も普段から持ち歩くことはしていなかったから、彼との新居に置かれたまま。
今更、取りに戻りたくはない。絶対に。
佐藤は携帯を手にすると、どこかに電話をかけはじめた。
「あ、俺だ。悪ぃけど例の部屋一部屋使わせて貰っていいか?」
うん、うんと何度か相槌を打ち、まもなく佐藤は電話を切った。
「悪ぃ。できるだけ早くに迎えに行くから、しばらく今からいう場所に隠れといてくれないか?」
佐藤は机の引き出しから紙を一枚取り出すとサラサラとボールペンを走らせ、その紙を私に差し出してくる。
相変わらずの悪筆だが、いつもいつも読めないことがないのだから不思議だ。紙には住所、そして部屋番号。住所をスマホの地図アプリに入力する。最寄りの駅のすぐ近くのビジネスホテルだと言うことが分かる。
「部屋にこもるのはいいんですけど、お金が……」
確か、昨日、財布に入っていた最後の1万円を崩したはずだ。正確な金額は覚えていないが、残りは8千円くらいだと記憶している。通帳やカードの類も普段から持ち歩くことはしていなかったから、彼との新居に置かれたまま。
今更、取りに戻りたくはない。絶対に。
佐藤は携帯を手にすると、どこかに電話をかけはじめた。
「あ、俺だ。悪ぃけど例の部屋一部屋使わせて貰っていいか?」
うん、うんと何度か相槌を打ち、まもなく佐藤は電話を切った。
「悪ぃ。できるだけ早くに迎えに行くから、しばらく今からいう場所に隠れといてくれないか?」
佐藤は机の引き出しから紙を一枚取り出すとサラサラとボールペンを走らせ、その紙を私に差し出してくる。
相変わらずの悪筆だが、いつもいつも読めないことがないのだから不思議だ。紙には住所、そして部屋番号。住所をスマホの地図アプリに入力する。最寄りの駅のすぐ近くのビジネスホテルだと言うことが分かる。
「部屋にこもるのはいいんですけど、お金が……」