もう少しちゃんとしたメール送ってきなさいよ。悪態をつきながら、メールにあった住所をコピーして、地図アプリを立ち上げて、検索欄に貼り付けた。

 即座に場所が記され、経路アイコンを押せば、現在地から目的地までの道順を懇切丁寧に教えてくれる。なんて便利な時代なんだろうか。私はこれ以上ないくらいにスマホに感謝した。

 私はスマホを片手に駅まで歩き、電車に乗った。

 電車で20分。そこから徒歩で15分。

 地図アプリが示す目的地に到着し、目を細めて見上げたのは、どこか懐かしさすら感じる5階建ての雑居ビルだった。

 初めて訪れる場所なのに、どうしてそう感じるこか。少し考えて合点がいった。どことなく初めて佐藤と会った雑居ビルに似ているのだ。

 メールにはこの建物の四階と記されていたのでエレベーターを探した。右往左往したものの結局エレベーターを見つけることができず、仕方なく階段を使うことにした。

 四階にたどり着くも思いのほか部屋が多い。自然と舌打ちが漏れる。仕方なく1つずつ確認して廊下を進むと、最奥から2番目の部屋に灯りがついていルノが見えた。安堵の息を吐く。
 
 ここだという予感があり、私をドアをノックした。