「おいおい、何だよ、それ……」

　受話器越しにも佐藤の狼狽が伝わってくる。

「どっちもあなたのミスじゃないですか？　責任取って、何とかしてくださいよ」
「責任かぁ……男にとって一番堪える単語だなぁ」

「今、この瞬間にも、私は着の身着のままで路頭に迷ってるんです。で、どうしたらいいんですか？　早く何とかして！！」

　のらりくらりとした佐藤の口調にイラッとし、語調が荒くなる。

「分かった……分かったから。少し落ち着こう。今から言う所に来てくれ」

　どこですか？　と聞く前にプチッと電話が切れた。ハァ？　何で切れるの？　罪のないスマホに悪態をついていると、メールが届いた。先程かけた佐藤の電話番号からだ。

　メールには住所が記されていた。本文はそれだけ。思わず笑ってしまった。

　メールの内容が住所だけなのは、佐藤の性格によるものか、私があまりの剣幕にまくしたてたため、必要最低限にとどめたためか。