佐藤と対面し、気が遠くなるような質問にいちいち答え、逐一その情報を佐藤はシステムの画面に入力していった。

 そして――最後の最後に画面が固まったのだ。佐藤はキーボードを連打した。何度かあれ? と首を傾げていたようにも思う。

 ――あの時だ。違和感はここしかない。

 きっと本来なら他人に与えてはならないものをどこかのデータベースから拾ってきてしまったのだ。

 そして何の因果か、それこそが彼の情報だった。

 同じ戸籍を共有すれば、名前だって誕生日だって同じになって当たり前。年齢や性別が違ったのは多分、システムのバグだろう。

 だから画面が固まり、それが復旧した時、既に使われているはずの戸籍が名前が誕生日が割り振られてしまった。そんな重大な欠陥がシステムに存在することを佐藤もそして同業者も気づかなかったのは、人生を買った人間と間違えて買われた人間が、そうそう身近にいるはずもなく、問題が露呈しなかったから。
 
 ハハハ……。

 もはやここまで来たら笑うしかない。