その度に断ってきたのだ。ごめんね。私、彼氏いるから。そういう中途半端なことしたくないから。

 結婚すれば、そんな誘いもなくなるに違いない。どこか少し残念で、でも大半はホッとした。

 彼の仕事は順調で、大変ながらも仕事を任されるようになっていた。

 帰る時間は遅くなっていくが、彼の目はむしろやりがいに満ちている。

 式や披露宴の準備でケンカをするカップルの話をよく耳にするが、彼は仕事を理由に私1人に任せるということもなく、むしろBGMはどうするかとか、なかなかに白熱した話し合いをしながら決めることができた。

 当日私が着るドレスについても、ああでもないこうでもないとやりあってるうちに、式場の担当者に笑われてしまった。

「大抵は、新婦様がある程度決めて、新郎様はそれを見て、うん、綺麗だね。いいんじゃない? で即決してしまうことが多いんですよ。迷われるとしたら新婦様お一人でどうしようってなって、どうしても決めかねる時になって、最後の最後、どっちがいいですかね? って私どもに聞かれることが多いですね」