次の日、帰宅すると哲史に彼との結婚のことを報告した。

「おっ、そうなんだ? おめでとう」

 祝福してくれて、ますます結婚するんだと実感がわいてきた。

 実は既に内定を2社ほど貰っていた。一つは食品関係の会社の事務職。もう一つは工業系の企業のやはり事務職。

 結婚する旨はどのタイミングで伝えるべきなんだろうかとふと考える。

 男と違って女の結婚報告はナイーブな問題だ。あまり早くに報告なんてしてしまうと――本当か嘘かは別問題として、企業の業績悪化などを理由に――内定取り消しになる可能性も否定はできない。

 就職してすぐ産休に入られたら。出産して職場復帰するかと思いきや、そのまま退職なんてされたら。企業としてはそんな可能性を想定しないはずがないからだ。

 まだプロポーズされただけだ。入籍日も式の日取りも、もちろん披露宴の内容も含めて、具体的なことは何一つ決まっていない。

 報告は就職してからにしようと決めた。