意を決してメニューを開いた。予想よりは安い金額が記載されていて安堵したものの、それでも私たちにとっては十分過ぎるくらいに高価なものであることに違いはない。

 単品は高くつくだろうと鑑みて、私は一番安いコースメニューを指差し、ギャルソンに伝えようとした。しかし、私の意図を察してたかどうかは定かではないが、私が注文する前に、彼が上から2番目に高いコースを2人分頼んでしまった。更にワインまでも。

「かしこまりました」

 やはり慇懃に礼をしたギャルソンがテーブルから離れたのを機に、私は彼に詰め寄った。

「ちょっと高過ぎない?」

 2人分のコースにワイン1本。十分にサラリーマン1ヶ月分のお小遣いに匹敵する金額になる。

「いいんじゃない? クリスマスだし。それよりもここ、皺寄ってるって」

 彼は彼自身の眉間に人差し指を持ってくる。

 特に私は寝ている時、何かに深く悩んでいるかのように眉間に皺を寄せて寝ていることが多いそうだ。朝起きた時や、今みたいにふとした時に、彼に指摘されるのだ。ここに皺寄ってるよって。

 私は慌てて眉間に指を持っていって、皺を伸ばす。

 その仕草が可愛いのだと彼はニヤニヤして私を見る。今だってそう。