まだ――どこかで胡桃山美月を引きずっているのだ。

 でも時間は止まらない。待ってはくれない。

 高校2年も冬になり、私もまた――進路を考える時期が来ていた。

 学校の勉強にはついていけている。はっきりとした人生の展望がない以上、大学に進もうと考えていた。

 仕事のこと、この先のこと。真摯に向き合い、結果を出すまでの猶予でもある4年をとりあえず手に入れてしまおうという姑息な考え。

 どの大学でもいいわけじゃない。極端に言えば、医者になりたければ医学部に、弁護士になりたければ法学部にといった感じで、4年後の大学卒業の先にある就職をある程度見据えた選択をしなければならない。

 とはいえ、何のビジョンも持たない私には決して容易なことではない。

 だから哲史に相談もしてみた。

 私も哲史も別人の人生を買った身だ。一番、私の置かれている状況を理解しているのが哲史だと言える。

 哲史曰く、念には念を押して、営業とか広報とか表立つ仕事は避けた方がいいんじゃないかということだった。どこの誰かが過去の自分を知っているかも分からない。

 表に立たなくていいとなると――選ぶべきはいわゆる事務方と呼ばれる職種だろうか。