彼があぐりのバイトを減らした理由。まさか私のためだったなんて。

 私はイヤイヤと首を横に振る。

「私はいっくんに何もあげてない。そもそも誕生日も知らないし」
「実は……一緒なんだよ」
「一緒?」

「僕も……8月19日なんだ。これってもはや運命なんじゃないかな?」

 名前が同じ。誕生日も同じ。確かにでき過ぎている。

「だからこそ――これを受け取って欲しい」

 彼の手の中にある緑色の宝石が妖艶に輝く。

 私は首を横に振り続けた。

「まだ貰えないよ。私も精一杯プレゼント見つけるから、それまで待ってて」

 やはりフェアじゃないといけない。何事もギブアンドテイク。そう思う。じゃなければ私は安心できない。

「僕の欲しいものは決まってるんだ」
「何? 教えて? 私に買えるもの?」