「そうだけど」
「これ……」

 彼は細長い箱を私の目の前に差し出してきた。

 綺麗に包装されている。

 私はその箱に手を伸ばすか迷っていると、プレゼントだよ、誕生日の、と彼が付け加えた。

「……え?」
「……いおに似合うと思ったんだ。どうしても着けて欲しいって思ったんだ。いわゆる一目惚れっていう奴?」

 開けるね、と彼が言うから勢いに流されるままにうなずく。

 包装が開けられ、青色の綺麗な箱が姿を現す。その蓋も彼は開けて、中身を私に見せてくる。

 Cの字の逆にしたような形。丁度、先端と先端の一番細い部分に、緑色の宝石がつけられている。よくよく見れば、ボディのところにも小さな宝石が散りばめられている。ムーンネックレスと言うやつだ。

「緑色の石はペリドットっていって8月の誕生石なんだ」

 本物の宝石。高価なものに違いない。

「小さいながらもダイヤも散りばめられてて、さり気なく綺麗な感じがいおらしいって思ったんだ」

 私は言葉を失った。

「こんな……高価なもの貰えないよ」
「うん。正直、高かった。だからバイト増やしたんだ。親の残してくれたお金は簡単に手を付けられないし」