瞬時に顔が強ばる。

 ショッピングモールにいたのを見られたということは彼と一緒にいるところを目撃されているということだ。

「うん、まぁ……」

 ごまかすという選択肢が脳裏にチラついたが、結局、否定しきれなかった。金子の存在に気づかなかった以上、どの距離で見られていたかは分からない。下手に否定して、嘘だと勘ぐられて、金子に目をつけられるのだけは避けたかった。

「やっぱり!! で、隣にいたのは彼氏? イケメンだったよね!!」

 彼氏という単語に、もしくはイケメンという言葉に、クラスの何人かが私の方に目を向けた。クラスから注目されるのは苦手だ。自分の席にいるのに居心地が悪い。

「違うよ。バイト先の先輩」
「でも、手、つないでたじゃん」
「……私が迷子にならないようにじゃないかな」
「そんなわけないじゃん。彼のこと好きなんでしょ?」
「……一応」