月曜日の朝、教室に入り、席に着いた途端に声をかけられた。

「ねぇねぇ、田中さん」

 クラスメイトの金子美来《かねこみく》だ。背が高く、驚くほど顔が小さい。少し釣り上がった目が、少々、性格をキツそうに感じさせてはいるが、総じて美人なのは間違いなく、同じクラスのみならず、上級生の男子からの人気も高い。

 クラスの女子の中で、間違いなくトップの位置付けに君臨する、いわば女帝。このクラスで一番発言力のある女子生徒だと行っても過言ではない。

 その美来が私に話しかけてくることなんてほとんどない。朝からよからぬ予感。何か気に障ることでもしてしまったのだろうか。

「何……かな?」
「昨日の午後さぁ、あそこにいたよね?」
「あそこ?」

 そう。えーっと、えーっと。場所は分かっているのに名前が出てこないといった様子。ようやう彼女の口から出たのは紛れもなく、昨日、彼とデートをしたショッピングモールの名前だった。