今の私たちは周囲からどのように見えているのだろうかなんて考える。カップルに見えるより、仲のいい兄妹くらいに見られるのが妥当な気がした。でも、いくら仲がいいからって、兄妹で手をつなぐだろうか。

 ずっとそんなことばかり考えてしまって、帰りはあまり会話をしなかった。

 互いがほとんど無言のまま、待ち合わせたのと同じ場所にたどり着いた。

「今日は楽しかった。また映画見に行こうか?」
「うん、そだね」

 社交辞令なのか、本当に二人の時間を楽しんでくれたのか。

 次の機会があればいいなと願うばかりだ。

 この後、彼だけでなく私もバイトだが、バイトに入る時間が違う。私は夕方の五時から。でも彼は夜の七時からになっている。一緒にバイト先には行けない。だからここでさよならだ。

「じゃあ」

 彼が手を上げた。私も彼を真似る。

『また――後で』

 二人の声が重なった。