「そうしたいのは山々なんだけど、二人もバイト休んだら店に迷惑かかっちゃうから」

 もっともらしい理由を告げる。

「だな」

 彼が諦めたように立ち上がり、会計を済ませ、店を出た。今回も彼におごってもらってしまった。ご馳走様でした。ペコリと頭を下げる。

「どういたしまして」

 彼の笑顔が最高の癒やしだ。

 店を後にした時、不意に彼に手を繋がれた。ドキリとして、最初はただ握られっ放しにしていたが、ドキドキがどうしても抑えられず、途中からは必死に握り返していた。

 専門店街を歩く時にはカップルとすれ違った。ショッピングモールを出たところでは、家族連れとぶつかりそうになった。駅が見えてきた時には、私と同世代の女の子グループと目が合った。

 彼とは四歳離れている。大人になれば大した年齢差ではない。でも、今は高校生と大学生だ。実際、その差は大きい。