男の子はもっと食べるものかと思ったが、案外とそうでもなくて、豚玉のお好み焼きを1枚と、焼きそばを1皿頼み、シェアすることにした。

 しかしここで、お好み焼きの切り方で軽い口げんか。私はピザのように放射線上に切りたいのに対し、彼は食べやすい大きさで格子上に切るのが一般的だと言う。

 埒が明かず、スマホを取り出して、ネットて調べる。この問題は案外と根深いらしく、新しく十字に切るという選択肢まで出てきて、混迷を極めた。

 結局は半分に切り、放射線上切りと格子切りを半分半分という折衝案に落ち着いた。

 もちろん食べてしまえばお好み焼きはお好み焼き。切り方一つで驚くような変化はない。

 美味しいねと笑い合い、話題が最近見てるドラマの話から、好きなタレントの話に移行し、カフェであれだけ話をしたのに、話題は尽きることなく、あっという間に時間が過ぎていった。

「あ、ヤバい。そろそろ戻らないと」

 スマホの時計を確認して、彼が言う。

「そだね。バイトあるしね」

「それか――このまま、サボっちゃう?」

 彼の悪魔のささやきに、一瞬心が動く。私は佐藤に借金を返さないといけない身なので、実際はそうはいかない。