まずは本屋に立ち寄り、ファッション雑誌を片っ端から読み漁った。

 デートの時、男の子がどんな格好をしたら喜ぶかは分からない。そんな経験はないからだ。もちろん彼氏持ちの友達を持ったこともないから相談もできない。

 一日、街を歩き回った末の私の戦利品は、黒のタンクトップに、ボトムスは花柄のガウチョパンツ。頭には麦わら帽子。足元はサンダルやミュールも迷ったが、靴擦れができたら迷惑がかかるからと、普段履いている白地のスニーカーのままでいくことに決めた。

 一週間ドキドキし続けた。おかげで授業もほとんど頭に入らなかった。

 決戦の日は日曜日だ。その日は私も彼も夕方からバイトが入っているから許された時間は限られている。

 映画が終わるのは正午を回るから、昼食も一緒に食べる約束もしている。

 気持ちの上では全然足りない。もっと彼と話がしたい。いや、この際、会話なんてなくても一緒の空間を共有したい。彼の顔を間近で見ていたい。

 しかし、どれだけ願ったところで、時間の猶予が変わるわけでもない。

 朝の8時半。バイト帰りに彼と分かれる分岐点で待ち合わせをしていた。