スマホのメッセージアプリのアカウントを交換して、連絡を取り合うようになった。

 おはよう。今日、いつもより起きるの遅くない? え? 休講? 何それ? 教授が休み? そんなことあるの?

 放課後になればなるで、やはりメッセージを送る。

 今からバイト行きまーす。私の方が先だね。頑張るよ。

 最初はそんな他愛もない挨拶の延長線。次第に好きなドラマの話に変わり、気づけば見たい映画の話題に発展していた。

 一緒に見に行こうか? となることは自然な成り行きだったのかもしれない。

 もちろん私は快諾した。こんなチャンス逃す手はない。

 デートとなれば気持ちも変わる。私は次の休みの日、街に繰り出した。デートに相応しい服を買うためだ。

 まずはATMにお金を下ろす。

 佐藤はやはり予想以上に優しくて、口座には高校生にはもったいないくらいの金額を残してくれていた。普段はほとんど無駄遣いをすることはない。長い逃亡生活の末、貧乏症が染み付いてしまっているからだ。

 だから軍資金はある。ここぞの時に使わないで、いつ使うのだと気合も入っていた。