たしかに、止まったまま。
私の中では、海斗はあの頃のまま変わってない。

あの頃よりも顔の丸みはなくなり、身体つきは少し痩せ、髪も長く伸び…少し変わってしまった私とは違う。

でも。
ひとつだけ、変わっていないものがある。


「ごめん、駿」


一向に薄れない、変わらない海斗への想い。


「正直、駿の気持ちを知って驚いた。知らなかったぶん、申し訳なくも…なった。でも、それでもね」


忘れることなんて出来ない。
駿の気持ちを知ってもなお、今でも私は海斗が好きなんだ。

そう、口にしかけた。


「待つから、俺」


だけど続きを口にする前に、駿が先にそう言って。


「別に、焦ってない。ずっと片思いしたんだぜ?そんな、今すぐ夕海に好きになってもらいたいとか、そんなことは考えてないから」


私に優しく微笑んだ駿は、ゆっくり前を向いてくれたらいいと、笑った。