不思議だった。
ひとりでいると滅入っていた気持ちが少し晴れた気分になる。
結菜がハンバーガーの包みを開けるのを確認してから、私も食べ始める。

それから私たちは世間話をしながら時間を過ごした。
まるで沙希の話をしないという暗黙のルールが定められたかのように、テレビのことや先生の話題に終始した。
やがて誰が言うこともなく私たちは席を立つ。
きれいに平らげられたトレーを見て、ようやく私は気づく。
きっとみんなもこの数日、食事が喉を通らなかったのかもしれない。
私が心配させたからだ。

店を出るときに、さりげなく和宏が私の肩に手を置いた。

「つらいな」

その声になぜか胸がまたひとつ大きく鼓動を打つのを感じる。


そんな自分を不謹慎だと思った。